【井町賢三医師監修】肝斑に対するトラネキサム酸について

【井町賢三医師監修】肝斑に対するトラネキサム酸について

トラネキサム酸は、肝斑を改善するための効果的な治療薬の一つとして広く使用されています。もともとは止血薬(血液の凝固を助ける薬)として使われていましたが、その後、メラニン生成を抑制する作用があることが分かり、美容皮膚科で肝斑治療に利用されるようになりました。

 

トラネキサム酸の肝斑に対する効果

1.メラニン生成の抑制

トラネキサム酸は、“プラスミン”というメラニンの生成を促進する因子の活性を抑制する効果があります。プラスミンは、シミや色素沈着の原因となる“メラニン”を作る過程に関与しています。トラネキサム酸がプラスミンの作用を抑えることで、肝斑の原因の一つであるメラニンの生成を減少させ、シミを薄くする効果が期待できます。

 

2.抗炎症作用

肝斑ができる原因の一つとして、紫外線や刺激があげられます。トラネキサム酸には抗炎症作用が含まれており、肝斑の原因となる炎症を抑制する効果もあります。

紫外線や刺激によって皮膚に炎症が起き、その炎症がメラニン生成を促すことによって肝斑が発生します。つまり、トラネキサム酸に含まれている“抗炎症作用”が肝斑予防につながるのです。

 

3.既存の肝斑の改善

トラネキサム酸は、すでに存在している肝斑にも有効とされています。内服や外用の治療を行うことで、肝斑が徐々に薄くなることが報告されています。特に、他の治療法(ハイドロキノンやレーザー治療など)と併用することで、効果が高まることが実証されています。

 

トラネキサム酸のメリットとデメリット

メリット

①安全

トラネキサム酸は、通常、副作用が少ないとされており、内服薬としても外用薬としても使われております。

②アプローチが効果的

トラネキサム酸は、特に、肝斑に対して有効とされており、他の治療法(外用薬やレーザー治療)との併用でさらに効果を高めることができます。

③内服でも外用でも使用可能

内服薬としてはメラニンの生成を抑制する作用があり、外用薬としては局所的に肝斑にアプローチすることができます。

 

デメリット

①効果が現れるまで時間がかかる

トラネキサム酸は、効果が現れるまでに数週間から数ヶ月かかることがあります。短期間で急激な改善が期待できる治療方法ではないため、毎日の内服を忍耐強く続けていく必要があります。

①副作用

ごく稀ですが、内服薬で胃腸の不調や吐き気、腹痛などが起こる場合があります。また血栓症のリスクが上がる可能性が指摘されており、持病がある方は医師と相談して使用する必要があります。

②肝斑以外のシミには効果が乏しい

トラネキサム酸は肝斑に対しては効果が期待できますが、通常のシミや老化による色素沈着には効果が乏しいことが多いです。

そのため、医師の診察によって、肝斑か通常のシミかの見極めやレーザーなどの治療を組み合わせていく必要があります。

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