【井上健太郎医師監修】☆ADM シミ各論☆

【井上健太郎医師監修】☆ADM シミ各論☆

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)はアザの一種ですが、患者さんの訴えとしてシミとして来院されることも多く、他のシミとは少し治療方法が変わってくるので診断が重要になります。

 

・ADMの原因

明らかな原因は不明ですが、通常はシミが存在しない皮膚の深い部分(真皮)に色素沈着と色素細胞が見られ、ゆえに他の茶色のシミとは色味が異なって見えます。

 

・ADMの特徴

アジア人の女性に多く、20歳前後から出現。

そばかすは幼少期~思春期、肝斑は20代後半から出現しますので、他のしみやアザと発生時期が異なり、鑑別の一助になります。

患者さんもはっきりと年齢を覚えていない事もあるので、質問の仕方を工夫して聞き出すことが重要です。

(例えば何歳ごろから出てましたか?だけでなく、中高生の頃はどうでした?成人式の時に頬のシミが気になってメイクしっかりしたりしましたか?など)

一番多いパターンとしては頬上部に左右対称に出現し、くすんだ(彩度の低い)色調をしています。

明るい茶色ではなく、グレー~若干青みを帯びた独特の褐色。

その他ADMは頬上部外側や小鼻では斑状、目の下では帯状のことが多いです。

 

 

圧倒的に頬が多いですが、年単位で診療していると下眼瞼typeや前頭外側typeもみます。

まずは頬に出る典型的なADMをしっかり鑑別できるようになりましょう。

 

 

 

・ADMの治療

ADMは真皮に存在するアザのため、トーニングやIPLだと出力不足で一向に改善しません。

強力にSPOT照射することが必要で、かつ回数もかかります。

強力に照射するのでトーニングに比べ、相応にダウンタイムもあり、術後ケアも大事になります。

ADM治療は大変ではありますが、他のシミと違って完治が目指せるので、満足度はすごく高い治療です。

ADMのみの場合

→ADMに対してSPOT照射

ADMと肝斑が混在している場合

→肝斑治療をまず優先、内服を必ず・トーニング

肝斑が良くなってくるとADMのみ残ってくるのでSPOT照射

ADMを疑うものがあれば治療前にADMの存在を指摘しておくことが大事

(もしかしたらこの色調の違うシミはADMというアザの可能性もあります、その場合にはトーニングだけでは残るので肝斑が良くなって気になればSPOT照射をしていきましょうなど)

 

 

・治療例

照射後はデルモゾール軟膏処方、遮光対策はしっかり

3ヶ月以上おいて色素沈着の程度を確認し継続して照射

5回以内に結果を出すことを目標に(完全に取り切れていなくても患者さんが十分に喜んでくれているレベルに)

 

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